「Here There and 」1981 at SENDAI 
仙台で催された「日本文化デザイン会議 '81−目と耳展」のためのもの。二名によって行われる予定だったのだが、実際には一名のみで行われた。会場近くを流れる高瀬川がハンティングの場所。砂利で覆われた広い河原の幅と水量が少ない川のなかを歩けるのが気に入ったのである。マイクを握り記録用のテレコを通したヘッドフォンを装着して歩き出す。足を進める毎に起きる砂利を踏みしめる音や水辺に近づくにしたがい様々に分散して聞えてくる川の様相の変化はなかなか楽しい体験だった。翌日会場で流した音は図に示した3ch の音場ではなく別のパフォーマンスに用意された16個のスピーカからのものだった。記録、再生共に最初の意図からは外れてしまったのだがその装置から鳴り響き続ける音は意図などを超えて悠々と流れる「高瀬川」の姿を会場に現したのだった。結局のところ私は「高瀬川」に敗れたのであり、同時に救われたのだろう。