即興演奏者三名のための音響装置。狙いは「手かせ、足かせ、三すくみ」というあらかじめ自由を奪われた状態で音楽はいかに発生するか、にあるのだが、演奏者の自由を奪うという考え方はこれ以降の私の作品の基調になっている様に思える。この作品の場合は、三人の音の探りあいの結果四番目の奏者が現われる仕組みになっている。ただし三人同時に音を出す場面では四番目の奏者として設定されたランダムノートの音は出ない。一人もしくは二人の音が出ている時のみ四番が登場する。なんだか「野球」みたいである。四番の参加を三人が拒否するのであれば三人のバトルを展開する。しかし僅かな間隙を縫って四番は現われるのであってしかもその発する音は相当「間抜け」だったように記憶している。なんとも迷惑な装置ではあった。